水の健康効果と正しい飲み方について

身近な存在「水」

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日本は年間降水量が世界平均の2倍近くあります。蛇口をひねれば水が出る我が国で水は「当たり前」のもの。しかし、当たり前だからこそ、私たちの健康に「水」がどのような影響を与えているか、考える機会はかなり少ないのではないでしょうか。

私たちの体は100兆個以上の細胞が寄り集まって形成されていますが、体内の水分量の約3分の2は細胞の中にあります。人間は水と睡眠さえ管理できていれば、たとえ食べ物がなくても数週間生き延びることができると言われていますが、水を全く摂取できなければ1週間と持たず死んでしまいます。体内の水分量が2%失われただけで運動能力は低下し始め、10%以上失うと死に至ることもあります。それだけ人間にとって水は大事なものなのです。

私たちの祖先は水中生活から陸上生活へと環境を激変させましたが、私たち人間の身体にとって、いまだに水は切っても切れない関係にあるようです。人体の約60%を占め、栄養素の運搬や老廃物の排出、体温調整など非常に重要な役割を担っている「水」についてまとめてみようと思います。 

 

 

健康・美容効果 

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私たちの身体で水は酸素・栄養素の運搬、老廃物の排出、体温調整など非常に重要な役割を担っています。十分な量をきちんと摂取していれば、それらの機能を十分に生かし様々な効果を発揮する一方で、摂取量が不十分であると健康面での影響がでてきます。脱水症はもちろんのこと、中高年で多くみられる脳梗塞心筋梗塞などの疾病リスクも増大します。水がもたらす様々な健康効果について見ていきましょう。

リンパの流れを良くする

水分をきちんと摂取することでリンパの流れを良くする効果があります。「リンパ管」は、人間の体内に網目のように張り巡らされたネットワークであり、そこを「リンパ液」が絶え間無く流れることで体の中の老廃物を回収し排出する役割を担っています。老廃物の約90%は静脈に取り込まれ、尿となって体内から排出されますが、残りの約10%の老廃物はリンパ管を通じリンパ液として流れ、排出されていきます。

水分の摂取量が不足するとリンパ液の流れが悪くなるので、老廃物をスムーズに回収・排出することが出来なくなり、余分な老廃物がむくみや体重増加、冷え性や痺れにも繋がるといわれています。

デトックス効果で肌トラブルを防ぐ

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デトックス効果」とは、 体内の毒素や老廃物を排出する効果のことを意味しています。静脈に取り込まれた毒素や老廃物の大部分は尿、汗(微量)となって身体から排出されます。これらの排出を円滑に行うために不可欠なのが「水」です。

毒素や老廃物は私たちが食べた物が代謝される過程で発生します。そのうち、水に溶けるものは尿として、溶けないものは便として排出されます。 水を多く摂取すると尿が出やすくなり、毒素や老廃物が排出されることでデトックス効果を得ることが出来ます。

私たちの体は100兆個以上の細胞が寄り集まって形成されていますが、体内の水分量の約3分の2は細胞の中にあるとされており、水分をきちんと摂取することで細胞が活性化されます。お肌の細胞も勿論そうです。細胞が活性化することで、垢や古い角質が剥がれ落ちて新しい細胞へと入れ替わるターンオーバーがきちんと行われ、健康な肌の状態を保つことができるのです。

お肌のターンオーバーサイクルは加齢とともに長くなる傾向にあります。20代では30日前後で入れ替わっていた細胞が50代では55日前後にまで長くなるという報告もあります。ターンオーバーの周期が長くなることで余分な角質が肌に積み重なり、皮脂腺がつまりやすくなったり、メラニンの排出効率が悪くなる原因にもなります。そうした肌トラブルが小ジワ、くすみやシミ、ニキビなどに繋がることになります。 

摂取した栄養素や水分は、まず優先的に生命維持に関わる臓器に運ばれます。肌はそうした優先順位が高くはなく、身体の一番外側でもあるため、栄養素や水分は後回しになってしまいます。意識して水分をきちんと摂取することが大切です。

エイジングケア

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成人期を過ぎて以降は加齢とともに喉の渇きを感じる「口乾中枢」が減退するため、「乾く」という感覚が衰えていきます。実際は水分が必要とされる状態であっても身体の渇きが感じずらく、水分摂取が遅れがちになってしまい、細胞内の水分量が減少してしまいます。摂取する水分量が少なくなると、体内では汗や尿といった水分の排出を制限するようになります。前述したデトックス効果とは真逆に身体にとっては悪い効果です。

赤ちゃんの身体は約75%が水分であるのに対して、老人は約50%と少ないことが分かっています。 高齢になるにつれ脱水状態になりやすいので意識して水分をとる必要があります。  

むくみの解消

私たちの体内にある水分は血液となって日々循環しています。血液は細胞へと酸素や栄養分を届けて、代わりに細胞から毒素や老廃物を受け取ります。「むくみ」とはこの循環がうまく行われず水分が排出しきれていない状態を言います。水分をきちんと摂取すると新陳代謝が高まるため、利尿作用が活発になりしっかりと水分を排出することに繋がります。

「トイレが近くなるから水分は控えている」といったことを耳にしますが、それでは古い水分(毒素や老廃物)を排出する大切な機会を失うことになりかねません。摂取した水分が行き場を失い細胞周辺にたまってむくんでしまうのです。

血の巡りが良くなる 

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肺で酸素を受け取った血液は、心臓の左房から左室へ送られ、そこから心臓の収縮で全身に送り出されます。酸素や栄養分を運び、二酸化炭素を受け取った血液(静脈血)は右房から右室へ送られ、そこから心臓の収縮によって全身から肺に送り出されます。肺で二酸化炭素と酸素の置き換え(「ガス交換」と呼ばれる)を行い、また全身へとめぐるのです。老廃物は体内の血液フィルターである腎臓で濾過され綺麗になります。

血液が滞りなく全身に行き渡ることによって、私たちの身体は健康を保つことができているのです。水分を適切に摂取することは血液を健康に保つ上で重要とされています。身体が脱水状態になると、血液中の液体成分が減少し、血液が流れにくくなるからです。適切に水分を摂取することで血液の循環がスムーズになります。

 

正しい水の飲み方

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適度に水分を摂取するために必要なのはこまめな水分補給です。「喉の渇きを感じた」時点で、すでに体内の水分は不足した状態になっています。水分が足りなくなる状況を作らないように、こまめに水分を摂取する習慣を身につけましょう。

水を飲むタイミング 

水分が失われるタイミングで適量飲むのが効果的です。水分が失われるタイミングとして挙げられているのは以下の通りです。 

起床後・就寝前

睡眠中は呼吸や汗の放出によって平均して500ml〜1000mlの水分が失われるそうです。就寝前と起床後は水分を補給するように心がけましょう。起床後は胃腸の蠕動運動を促す「胃・結腸反射」が最も強く働く時間帯とされており、目覚めの1杯の水は、自然な排便を促してくれます。

昼食前・昼食後

出勤や通学、家事など代謝が活発になる時間帯です。空調の効いた部屋にいるだけでも水分は失われていきます。胃の中に食べ物がない状態で水分補給をすることが大切です。また、「食事中の水分補給」については注意が必要です。私たちの身体が食べ物を消化する際に欠かせないのが「胃酸」の働きです。

食事中に水分補給してしまうと、この胃酸の力が弱まり、消化に時間がかかってしまうのです。消化に時間がかかれば、当然胃への負担も増え、身体が疲れやすくなります。また、食事中に水分を取ると、咀嚼回数が減ることが知られていて、こちらも胃腸への負担がかかり消化が悪くなります。食事の30分前、食後3時間はあまり水分を取らないほうが良いと考えられます。

入浴前後

入浴によって失われる水分は500ml程度と言われています。ポイントは「入浴後」ではなく、「入浴前後」に水分を補給する点です。水分補給しない状態で入浴すると、その後の発汗によって血液の粘度が高まった状態になる可能性があります。そうなると血圧の急上昇によって脳卒中心筋梗塞などにつながる恐れもあるので、入浴の前にも水分を補給しておくことが大切です。 

水の温度 

冷水は胃腸への負担が大きいため、常温で飲むことが基本です。ただし、冷水は常温や白湯に比べて胃腸の通過が早く、その分吸収が早いため、スポーツ直後や熱中症対策には適量の冷水は良いとされています。白湯は胃腸への負担が少なく、吸収も遅くなります。体内を温めることができるので冷え性対策で就寝前に1杯飲むのに適しています。ただし、水道水から白湯を作る場合には、煮沸時間に注意する必要があります。

飲む水の量  

私たちは一般的に1日に2リットルから2.5 リットルの水分を尿や汗などで排出するといわれています。そのためそれと同量程度の水分補給が理想となります。水分補給には飲水の他、食事からの摂取と食物分解の際に生じる水分とがあります。

日本人の一般的な1日の食事では、およそ0.8リットルから1リットルの水分を摂取があり、それに加えて「代謝水」と呼ばれる細胞のエネルギー代謝によって体内で生成された水分が約300mlあるといわれています。飲料水から摂取する目安としては、これらの水分量を差し引いた700mlから1,400mlと考えることができます。

水の選び方

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水以外のお茶やスポーツドリンクなど

コーヒーなどカフェイン飲料

コーヒーは周知の通りカフェインの含有量が多く、強い利尿作用があるため水分補給には不向きです。かえって脱水状態を引き起こす可能性もあるので飲む量には注意が必要です。紅茶・緑茶についても同様です。

スポーツドリンク

激しいスポーツをした後や、大量に汗をかいた後には効率よく水分・ミネラルの補給ができます。しかし糖分も多く含んでいるため、習慣的に飲んでいると肥満や高血糖の原因ともなるため注意が必要です。清涼飲料水についても同様です。

水道水  

日本の水道水は厚生労働省が定める51項目もの厳格な水質基準をクリアしており、その安全性は明らかです。 ただし水の品質以外のリスク要因もあります。

例えば、給水管の問題。未だに残っている古い鉛製の給水管。鉛中毒になるリスクが考慮され現在では積極的に設置されていません。鉛製以外にも昭和40年代以前に設置されたサビが付着している可能性のある古い給水管も残存しており、東京都内では2017年度時点で4%残存しているそうです。

また、水道水には塩素の他にも「トリハロメタン」という発がん性物質が微量ながら含まれています。ごく微量であるため、健康被害になる可能性は極めてゼロに近いようですが、煮沸することで塩素・トリハロメタンともに除去することができます。トリハロメタンについては沸騰後最低10分以上加熱が必要とされており、短時間ではかえって量が増加するともされているため、一定の注意が必要です。

ミネラルウォーター  

ミネラルは人間の体内で生成することができず、外部から取り込まないと、身体に異常をきたします。そして取り込んだとしても適切な量を摂取しなければ欠乏症や過剰摂取になり様々な病気を引き起こすため、そのバランスが非常に重要です。

一般的にミネラルウォーターは外国産の方がミネラルが多く含まれています。もともと日本の土壌が欧米に比べミネラル分が少ないことが原因です。当然水だけにとどまらず、この土地で育つ野菜についてもミネラルは少ないのが現状です。

さらに近年は化学肥料や農薬の使用によって土壌が変質し、ミネラルが更に減少しているのです。日本食品標準成分表によれば、ホウレンソウに含まれる鉄分は1950年代と比較し15%程度、玉ねぎに含まれるカルシウムの量は半減しています。

一方で加工食品の利用が進むにつれて、添加物として使用されている「リン酸塩」の過剰摂取が問題視されています。このミネラル成分は多く取りすぎてしまうとカルシウムの吸収を阻害してしまうのです。逆にカルシウムが過剰であってもリンの吸収を妨げるため、カルシウムとリン酸は1:1で摂取することが理想的とされています。

ミネラルウォーターは含有成分によって硬水・軟水に分かれます。硬水は軟水に比べミネラル成分がより多く含まれており、ミネラルを摂取したい方におすすめです。また便秘解消にも効果があるとされています。ただし、硬度が高いと飲みにくく、特有の風味や香りもあるため料理には不向きとされています。一方軟水はミネラルが少ない分、様々な料理にも使用でき、赤ちゃんや小さな子供にも安心して与えることができます。

まとめ

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今回は私たちの身近にある水についてみてきました。何となく「水を飲むことは健康に良い」と思ってた方も、こうして掘り下げてみると知らなかった水の健康効果や選び方の知識があったかと思います。 今回ご紹介した正しい飲み方も是非試してみてください。「水を飲む」という当たり前の行為が今後少しだけ特別なものになっていただけたら幸いです。